いつものBBQコンロで、いつもと同じ肉を焼く。いつもの鍋で、いつもと同じカレーを作る。キャンプは最高に楽しい。でも、食事の準備やメニューが、どこか「作業」になってはいないだろうか。
もし、あなたがそんな風に感じたことがあるなら、この記事はあなたのためのものです。
近年、アウトドア界に彗星の如く現れ、今なお品薄が続くほどの熱狂を生み出している一つの調理器具があります。その名は「マルチグリドル」。韓国発祥とされるこの魔法のプレートは、たった一枚で「焼く・炒める・煮る・揚げる」をこなし、どんな料理もレストランの一皿のように変えてしまうと話題です。
しかし、その人気には「高価」という高い壁がありました。本家とされるブランドや有名アウトドアメーカーの製品は、安くても5,000円、高いものでは10,000円を超え、気軽に手を出せるものではありませんでした。
その常識を破壊したのが、我らが「ダイソー」です。
信じられないことに、ダイソーは本格的なマルチグリドルを、わずか1,100円(税込)で発売したのです。
※小さい20cmタイプなら更に安い770円(税込)!!!
SNSは「ダイソーの本気が恐ろしい」「見つけたら即買い必須」「1100円でキャンプのQOLが爆上がりした」といった絶賛の声で溢れかえりました。一方で、「安かろう悪かろうじゃないの?」「すぐダメになるのでは?」という疑念の声が上がるのも当然のことです。
この記事は、そんなダイソーのマルチグリドルに関する、ウェブ上で最も詳細かつ公平な徹底ガイドを目指して作成されました。単なる製品紹介ではありません。発売後に集まったリアルな声、本家やライバル製品との徹底比較、性能を120%引き出すための「鉄則」、キャンプと家庭それぞれでの賢い活用術、そして「買って後悔した…」という失敗談まで。
あなたがダイソーのマルチグリドルを買うべきか、それとも他の製品を選ぶべきか。この記事を最後まで読めば、その答えが自ずと見つかるはずです。
さあ、1,100円で手に入る「最高の体験」への扉を、一緒に開けてみましょう。
第1章:すべてはここから始まる。1,100円の衝撃、ダイソー「マルチグリドル」の正体
まず、我々を熱狂させるこの黒いプレートが、一体何者なのか。その基本スペックから人気の秘密、そして市場における立ち位置までを、客観的なデータで解き明かしていきます。


1-1. これが基本スペックだ!製品情報を完全公開
店頭で見かけても、詳細な情報がパッケージに書かれているわけではありません。購入前に知っておくべき、正確なプロフィールがこちらです。
- 正式名称: キャンプマルチグリドル
- 販売価格: 1,100円(税込)
- JANコード: 4550480676197
- 本体サイズ: 約 直径30cm(取っ手含む) × 直径25cm(プレート部) × 厚み3mm
- 重量: 約270g
- 材質:
- 本体:アルミニウム合金
- 表面加工:フッ素樹脂塗膜加工
- 対応熱源: 直火のみ
- 使用不可熱源: IHクッキングヒーター、電子レンジ、オーブン、食器洗い乾燥機
- 付属品: なし(収納ケースや蓋は付属しません)
- サイズ展開: 本記事では主に人気の1,100円モデルを取り上げますが、ソロキャンプに最適な770円の小型モデル(約20cm)も販売されています。
注目すべきは、約270gという驚異的な軽さ。1kgほどの製品も多いマルチグリドル界において、この軽さは持ち運びの負担を劇的に軽減します。しかし、それと同時に「IH非対応」「付属品なし」という点は、購入を判断する上で極めて重要なポイントです。ご家庭のコンロがIHの方は、残念ながらこの製品の魅力を享受することはできません。
1-2. なぜ人は熱狂するのか?価格以上の3大魅力
1,100円という価格は、あくまで入り口に過ぎません。多くのユーザーが「値段以上」と絶賛する、その核心的な魅力は3つに集約されます。
- 魅力①:革命的なコストパフォーマンス
これは語るまでもないでしょう。憧れのマルチグリドルを、ランチ1回分ほどの投資で始められる。この「試せる」という価値が、キャンプ初心者や、「高価なギアを買って失敗したくない」と考える堅実なユーザーの心を鷲掴みにしました。「もしダメでも1100円なら諦めがつく」という気持ちが、爆発的な普及を後押ししたのです。 - 魅力②:荷物を減らす「1台N役」の万能性
キャンプの準備で頭を悩ませるのが、調理器具のかさばりです。「肉を焼くための鉄板、アヒージョを作るためのスキレット、炒め物用のフライパン、少量の揚げ物用の小鍋…」といった複数の役割を、この一枚でこなすことができます。中央のくぼみと適度な深さが「焼く」「炒める」「(少量の油で)揚げる」「(具材を煮込む)アヒージョやパエリア」といった多様な調理法に対応。本格的な鍋や深鍋の代わりにはなりませんが、多くの調理シーンをカバーできるため、結果としてキャンプに持って行く調理器具を減らし、準備も片付けも格段にスマートにしてくれるのです。 - 魅力③:ズボラでも安心!シーズニング不要の圧倒的な手軽さ
鉄製のスキレットやダッチオーブンに付きまとう、面倒な「シーズニング(油ならし)」作業。ダイソーのマルチグリドルは、フッ素加工が施されているため、これが一切不要です。買ったその日に、洗剤でサッと洗うだけですぐに使える。調理中も食材がこびりつきにくく、使用後の洗浄も驚くほど簡単。水場が限られ、何かと面倒な後片付けを楽にしてくれるこの手軽さは、アウトドアにおいて何物にも代えがたいメリットです。

1-3. 【徹底比較】本家・ライバル製品との仁義なき戦い。あなたに合うのはどれ?
「安いのはわかった。でも、高いものと何が違うの?」その疑問に、スペック比較でお答えします。ここでは代表的なプレイヤーたちとダイソー製品を比較し、その立ち位置を明らかにします。
【主要マルチグリドル・グリドルパン 比較表】
項目 | ダイソー | JHQ (本家) | 3COINS (スリコ) | ニトリ / カインズ | アイリスオーヤマ |
---|---|---|---|---|---|
参考価格(税込) | 1,100円 | 8,800円~ | 1,650円~ | 1,500~2,500円 | 3,000円~ |
サイズ(直径) | 約25cm | 33cmなど | 25cmなど | 様々 | 様々 |
重量 | 約270g | 約1kg | 軽め | 中程度 | 中程度 |
IH対応 | 不可 | 可 | 可 (製品による) | 可 (製品による) | 可 (製品による) |
コーティング | フッ素樹脂 | イノーブル(高耐久) | フッ素樹脂など | フッ素樹脂など | スキレットコートなど |
付属品 | なし | ケース、グリップ | なし (製品による) | なし (製品による) | なし (製品による) |
キーワード | 圧倒的安さ・軽さ | 高耐久・高性能・所有感 | デザイン性・IH対応 | バランス・家庭向け | 独自技術・機能性 |
ターゲット | お試し・ソロキャンプ | 本格派・ヘビーユーザー | おしゃれ志向・家庭併用 | コスパ重視の家庭派 | 機能性重視派 |
この表から見えてくるのは、ダイソー製品が「アウトドアへの入門、お試し」という一点に極めて鋭く特化していることです。
- 最高の品質と満足感を求めるなら → JHQ
価格は8倍以上しますが、傷や熱に圧倒的に強い特殊コーティング、IH対応の汎用性、所有感を満たす付属品と、全てにおいて最高峰。一生モノの相棒を探すなら、迷わずこちらです。 - 家庭でもおしゃれに使いたいなら → 3COINS
ダイソーより少し高価ですが、IH対応モデルが多く、デザイン性も高い。キャンプだけでなく、普段のキッチンをおしゃれに彩りたいユーザーに最適です。 - 品質と価格のバランスを求めるなら → ニトリ、カインズ
「お、ねだん以上。」の信頼性や、ホームセンターならではの堅実な作りが魅力。ダイソーよりは頑丈で、JHQよりは手頃。家庭での使用をメインに考え、たまにキャンプにも持ち出したい、という層にフィットします。
つまり、ダイソーのマルチグリドルは、他の製品と競合しているようで、実は全く異なる土俵で戦っているのです。それは「マルチグリドル未体験者」という、最も広大な市場です。

第2章:ユーザーの生の声。ダイソーマルチグリドルの知識と耐久性予測
カタログスペックだけでは、製品の真の価値はわかりません。ここでは、発売後に明らかになったリアルな評価から、安全性、そして製品と長く付き合うための知恵までを深掘りします。
2-1.【耐久性予測】コーティングの寿命は?長く使うための付き合い方
1,100円という価格で最も気になるのが「どれくらい使えるのか?」という点でしょう。まだ長期的な耐久性を語ることはできませんが、発売後のレビューやフッ素加工製品の一般的な特性から、その寿命を予測し、長く付き合うための方法は見えてきます。
それは「製品寿命は、あなたの愛情と使い方で決まる」ということです。
- 【天国ルート】長く快適に使える可能性
あるキャンパーは言います。「コツはとにかく『優しく』扱うこと。火は常に中火以下、使うのはシリコン製のトングだけ。洗い物も冷めてから、スポンジの柔らかい方で撫でるように。これを徹底すれば、価格以上の期間、活躍してくれるはずだ」。
このように、製品のデリケートな特性を理解し、丁寧な扱いを徹底することが、この製品と長く付き合うための絶対条件になります。 - 【地獄ルート】数回の使用で劣化する可能性
一方で、SNSには悲しい報告も既に上がっています。「買って最初のキャンプで焚き火にかけたら、一発で中央のコーティングが変色。次のBBQでは見事に肉がこびりついた」「便利だからと金属のヘラでガシガシ使っていたら、すぐに傷だらけに…」
強火、焚き火、金属製の調理器具、急冷、タワシでの洗浄。これらは、フッ素コーティングにとって致命的な行為です。
結論として、ダイソーマルチグリドルのコーティングは、価格相応にデリケートだと考えるべきです。 鉄のフライパンのようにラフに扱えるタフさはありません。しかし、その弱点を理解し、「ひと手間」を惜しまなければ、1,100円の投資で長く「楽しい時間」を提供してくれる、驚異的なポテンシャルを秘めているのです。
2-2. 安全性は大丈夫?知っておきたい「PFOA」とコーティングの知識

「安い調理器具は、体に悪い物質が使われていそうで不安」と感じる方もいるかもしれません。特にフッ素樹脂加工で過去に問題視されたのが「PFOA(ペルフルオロオクタン酸)」という化学物質です。
ご安心ください。現在、日本国内で正規に製造・販売されているフッ素樹脂加工の調理器具は、業界の自主基準によりPFOAを使用しない「PFOAフリー」であることが標準となっています。ダイソーの製品も、このグローバルな安全基準に則って製造されていると考えて問題ありません。
ただし、これはコーティングが健全な状態であることが大前提です。コーティングが大きく剥がれ、アルミの素地が剥き出しになったり、剥がれた破片が頻繁に料理に混入したりするような状態になったら、それは製品の寿命のサイン。安全のためにも、衛生のためにも、潔く買い替えることをお勧めします。
2-3. 相棒と長く付き合うための『5つの鉄則』
後悔しないために、そしてこの便利な相棒と1日でも長く付き合うために。全てのユーザーに守ってほしい「5つの鉄則」をここに記します。
- 鉄則①:コーティングは「ガラス」のように扱うべし
調理器具は、必ずシリコン製か木製のものを使用してください。金属製のトング、ヘラ、フォークは絶対NGです。食材を切り分ける際も、グリドルの上でナイフを使うのは厳禁。あなたのグリドルは、タフな鉄板ではなく、繊細なガラスの器なのです。 - 鉄則②:火加減は「中火の掟」を死守せよ
強火と焚き火は、コーティング劣化の最大の原因です。必ずカセットコンロやガスバーナーを使い、炎がプレートの底に直接当たらない程度の中火~弱火で運用してください。これが、製品寿命を延ばす最も重要なポイントです。 - 鉄則③:「熱ムラ」を”ゾーン”として使いこなせ
このグリドルは薄いアルミ製のため、火が当たる中央だけが熱くなり、周囲との温度差、いわゆる「熱ムラ」が生じます。これを欠点と捉えるのではなく、「中央=調理ゾーン」「周囲=保温・待機ゾーン」として戦略的に使い分けましょう。中央で焼いた肉を周囲に移動させ、空いた中央で野菜を炒める。このテクニックを覚えれば、調理効率が格段にアップします。 - 鉄則④:五徳の上での安定は「使用前の儀式」と心得よ
約270gという軽さは、時に弱点にもなります。コンロの五徳の形状によっては、プレートが滑ったりガタついたりすることがあります。食材を乗せる前に必ずグリドルをコンロに置き、安定性を確認する。これを調理前の「儀式」として習慣づけてください。 - 鉄則⑤:洗浄は「冷まして、優しく、拭き上げる」の三原則で
調理後、アツアツのグリドルに水をかける「ジュッ!」という音は快感ですが、コーティングにとっては拷問です。急激な温度変化は剥離の原因。必ず自然に冷めるのを待ってから、中性洗剤と柔らかいスポンジで優しく洗いましょう。洗浄後は水分をしっかり拭き取ることで、水垢の付着も防げます。
2-4. コーティングが剥がれたら?製品の寿命と賢い別れ方
上記の鉄則を守っても、いつかは寿命が訪れます。焦げ付きがひどくなり、調理のたびにストレスを感じるようになったら、それは感謝と共に別れる時です。
一度剥がれたコーティングを家庭で再生する方法はありません。無理に使い続けるよりも、潔く買い替えるのが最善の選択です。1,100円という価格だからこそ、この「消耗品としての割り切り」ができるのも、ダイソー製品の隠れたメリットと言えるでしょう。
廃棄する際は、燃えないゴミではありません。お住まいの自治体のルールを確認し、「不燃ごみ」や「金属ごみ」として正しく分別して処分してください。

第3章:ポテンシャルは無限大!ダイソーマルチグリドル活用術【キャンプ編 vs 自宅編】
このマルチグリドルの真価は、その応用力にあります。ここでは、アウトドアとインドア、それぞれのシーンで輝く具体的な活用法と、そのポテンシャルをさらに引き出す周辺アイテムをご紹介します。
3-1.【キャンプ編】食事がイベントに変わる、魔法のレシピ

マルチグリドルが一つあれば、キャンプの食事が忘れられない思い出に変わります。
- 王道にして至高!「サムギョプサル」と「チーズタッカルビ」
もはや説明不要の二大巨頭。グリドルの傾斜が豚バラの余分な脂を自然に落とし、肉をカリカリに焼き上げます。中央のくぼみにキムチやニンニク、溶かしたチーズを置けば、そこはもう韓国の屋台。仲間とグリドルを囲むだけで、最高の宴が始まります。 - おしゃれキャンプの代名詞!「アヒージョ」と「パエリア」
適度な深さは、煮込み料理にも最適。オリーブオイルとニンニク、好きな魚介やキノコを煮込むだけで、絶品アヒージョが完成。残ったオイルでパスタを和えるのも最高です。サフランライスと魚介を炊き上げれば、見た目も華やかなパエリアに。作ったままテーブルに出せる手軽さも魅力です。 - 上級者向け応用レシピ(※注意点あり)
- ポップコーン: 別売りの蓋が必須。焦げ付きやすいので中火以下で絶えず揺すりながら。子どもが喜ぶ鉄板おやつです。
- パン・ピザ: 弱火でじっくり熱すれば、簡易オーブンに。蓋をして蒸し焼きにすることで、外はカリッ、中はふっくらのパンやピザが焼けます。
- 簡易スモーク: アルミホイルを敷き、少量のチップと網を乗せ、ボウル等で蓋をして熱燻。コーティングを著しく傷めるリスクがあるため、あくまで自己責任で。
3-2.【自宅編】洗い物が減る!QOLが上がる!普段使いの光と影

このグリドルの活躍の場は、野外だけではありません。家庭のキッチンでも、その実力は遺憾なく発揮されます。
- 普段使いの「光」(メリット)
- 究極の時短とエコ: 調理して、そのまま食卓へ。フライパンから皿への移し替えが不要になり、洗い物が一つ減ります。ある主婦は「平日の夜、ハンバーグをこれで焼いて出すだけで、家族のテンションが上がるし、私の手間も減る。まさに一石二鳥です」と語ります。
- 食卓のエンタメ化: 熱々の料理を中央に置けば、いつもの食事が特別なイベントに。餃子や麻婆豆腐、アクアパッツァなど、取り分けて食べる料理との相性は抜群です。
- 普段使いの「影」(デメリット)と対策
- 最大の宿敵「油はね」: 縁が浅く、傾斜がある構造上、炒め物や焼き物では油がコンロ周りに想像以上に飛び散ります。これを嫌って、家庭では使わなくなったという声も少なくありません。対策は「使うたびにコンロ周りを掃除する覚悟を決める」か、100円ショップなどでも手に入る「レンジガード(油はねガード)」を設置することです。
- その他: 持ち手が熱くなるためミトン必須、IH非対応、片手で振るえない、といった点は改めて注意が必要です。
3-3.【シンデレラフィットを探せ!】1100円の相棒を最強に育てる周辺アイテム
付属品がないからこそ、自分好みにカスタムする楽しみがあります。多くの先人たちが探し当てた「シンデレラフィット」アイテムで、あなたのグリドルをアップグレードしましょう。
- 【蓋】ニトリ vs カインズ:
- 最有力候補:ニトリ 立てられるふた (24-30cm対応)
多くのユーザーが「まるで専用品」と絶賛。自立する便利さに加え、ガラス窓で調理中の様子が確認できるのが最大のメリット。蒸し料理や煮込み料理の質が格段に向上します。 - 対抗馬:カインズ スタンド式フライパンカバー
こちらもフィット報告多数。デザインの選択肢も豊富で、自分好みの一つを見つける楽しみがあります。
- 最有力候補:ニトリ 立てられるふた (24-30cm対応)
- 【収納ケース】ダイソー内で完結!
- 最適解:ダイソー クッションPCケース (15.6インチ用/550円)
衝撃のフィット感。クッション性がデリケートなコーティング面を優しく保護し、持ち運びを劇的に楽にしてくれます。これを発見した人には感謝しかありません。 - 代替案:ダイソー トートバッグ (マチ付き)
グリドル本体に加え、トングやミトン、調味料なども一緒に放り込める手軽さが魅力。タオルで一巻きしてから入れるのがお勧めです。
- 最適解:ダイソー クッションPCケース (15.6インチ用/550円)
これらのアイテムを追加投資しても、合計で2,000円~3,000円程度。それでも本家製品より圧倒的に安価に、自分だけの最強セットを構築できるのです。

第4章:なぜダイソーはマルチグリドルを作ったのか?製品の背景と未来
この一枚のプレートは、単なるヒット商品ではありません。それは、ダイソーという巨大企業が描く、壮大な戦略の一部なのです。
4-1. 1100円は、新たな顧客を創造するための戦略価格
近年、ダイソーはアウトドア・キャンプ用品に驚くほど力を入れています。メスティン、ミニ鉄板、固形燃料、アルコールストーブ、焚き火台…。かつては専門店でしか手に入らなかったギアが、次々とダイソーの棚に並びました。
これらの100円~500円の製品群は、「ダイソーでキャンプを始められる」という新しい文化を創造しました。マルチグリドルは、その流れを決定づける戦略的フラッグシップ商品です。
あえて既存の製品より高価な1,100円という価格設定にすることで、「安かろう悪かろう」のイメージを払拭。市場価格の数分の一というインパクトで、「安さ」だけでなく「トレンド感」と「高い価値」を両立させました。これにより、ダイソーは「単なる100円ショップ」から、「本格的な趣味への最高の入り口を提供するブランド」へと、そのステージを一つ上げたのです。

4-2. 今後の展望とキャンパーたちの夢
この大成功を受け、我々キャンパーはさらなる夢を期待せずにはいられません。既に2つのサイズ展開が実現している今、次に望むのはどんな展開でしょうか。
- 公式アクセサリーの登場: ユーザーがニトリやカインズに探し求めている「公式の蓋」や、PCケースで代用している「ぴったりサイズの収納ケース」がダイソーから発売されれば、セットで買う人が続出するでしょう。
- 待望のIH対応版: 「家でも使いたいのにIHだから…」と涙をのんだユーザーは計り知れません。たとえ価格が2,200円や3,300円になったとしても、家庭での使用をメインに考える層からの絶大な需要が見込めます。
- カラーバリエーションの展開: 定番のブラックに加え、オリーブやタンといったキャンプギアで人気のカラーが登場すれば、さらに所有欲をくすぐるアイテムになるはずです。
ダイソーのアウトドアコーナーは、もはや我々にとって宝探しのフィールドです。このマルチグリドルが示した可能性は、まだまだ始まったばかりなのです。
最終結論:では、あなたはダイソーのマルチグリドルを「買うべき」か?
長い旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。すべての情報を踏まえ、最後の問いにお答えしましょう。
結論から言えば、これは「すべての人に勧められる製品」ではありません。しかし、「特定の人々にとっては、人生を変えるほどの価値を持つ製品」です。
【今すぐダイソーへ走るべき人】
- キャンプ初心者の方: 最初のクッカーにこれを選べば、キャンプ飯の楽しさに目覚め、どっぷり沼にハマることを保証します。
- ソロ・デュオキャンパーの方: サイズ感、軽さ、万能性、全てがあなたのスタイルに完璧にフィットします。
- 「マルチグリドル、気になってたんだよね」という方: 1,100円です。悩む理由がありません。この投資で得られる経験価値は計り知れません。
- 料理は好きだけど、洗い物は嫌いなズボラさん: 家庭で使えば、調理と片付けのストレスが劇的に減り、QOLが向上します。
【一度立ち止まって考えるべき人】
- 焚き火料理がメインのワイルドなキャンパー: コーティングが一瞬でダメになります。あなたのスタイルには、もっと頑丈な鉄製のフライパンやダッチオーブンが似合います。
- ファミリーキャンプがメインの方: 25cmというサイズは、4人以上の食事を一度に作るのは困難です。より大きなサイズの他社製品を検討すべきでしょう。
- ご家庭のコンロがIHの方: 残念ながら使えません。3COINSやニトリのIH対応モデルを探しましょう。
- 道具をラフに扱いたい、細かい手入れは苦手な方: この製品のデリケートさは、あなたにとってストレスになるかもしれません。
ダイソーのマルチグリドルは、単なる「モノ」ではありません。それは、キャンプ飯を「イベント」に変え、日常の食卓に「彩り」を与え、面倒な後片付けからあなたを「解放」してくれる、1,100円で買える「最高の体験へのチケット」なのです。
もしあなたが「買うべき人」のリストに当てはまるのなら、幸運を祈ります。近所のダイソーで、あなたの人生を少しだけ豊かにしてくれるこの黒い相棒と出会えることを。